近年、長距離ドライバーによる勤務中の事故が増加しています。その原因として、運送業界の人手不足による従業員への負担増加などがあげられます。今回は、どのようにすれば従業員の負担軽減が図れるかということについて考えます。
健康管理は何よりも大切
運送業界では従業員の睡眠不足などによる事故を防ぐために、平成30年6月1日から、点呼時に睡眠状況の確認を行うことが義務付けられました。また、全日本トラック協会では、過労死の根絶を図るために『過労死等防止計画』の策定も行っています。
しかし、現状としてはなかなか人手不足が解消されていないため、従業員への負担軽減には至っておらず、事故や過労死の根絶にも至っていません。そこで、従業員の健康管理を強化することで、事故や過労死の減少につなげていくことが大切です。従業員の負担を軽減することができれば、「きつい」「休みがない」といった運送業界への良くないイメージも払拭できるのではないでしょうか。
負担を軽減するためには
従業員の負担を軽減するための方法は、現在実施されているものも含め様々あります。その中でもより効果的だと考えられるものをご紹介します。
安全装置の導入
トラック協会は『安全装置等導入促進助成金』というものを設けています。
例えば、バックモニターなどの後方視野確認装置や、側方視野確認装置などの導入が考えられます。トラックは側方や後方などが見えづらく、運転をする際には乗用車に比べてより神経を使うため、疲労が蓄積します。モニターを設置することで簡単に広範囲の確認ができるようになれば、負担軽減だけでなく、事故の防止にも繋がります。
また、車線逸脱警報装置や車間距離制御装置などの導入も効果的です。安全運転を心がけることはドライバーとして当然のことですが、それをサポートしてくれる装置が導入されることによって負担は大幅に減少するでしょう。
ドライブレコーダーの設置
従業員の負担軽減策として、勤務時間を正確に管理することが重要です。トラックドライバーの業務の中には、荷物の積み下ろしを待っている「荷待ち時間」というものがあります。荷待ち時間も業務の一環として計算し、正確な勤務時間を把握することで、勤務時間外労働の削減へとつながります。
また、ドライブレコーダーで業務中の様子を記録することによって、従業員の健康状態の把握が可能です。雇用主が従業員の健康状態を頻繁に観察できる職種ではないため、ドライブレコーダーなどによる健康観察が重要なのではないでしょうか。