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いじめ大国ニッポンの現状と対策

日本の小・中・高校のいじめの実態がひどすぎる。年間の件数、実態ともに悲惨な状態をなんとか出来ないものか。

■年間認知件数54万件の異常さ
平成30年度の小・中・高等学校及び特別支援学校におけるいじめの認知件数は、54万3,933件。前年度は、41万4,378件で31%の増加となっている。過去5年間の傾向として、小学校におけるいじめの認知件数が大幅に増加している。
いじめの重大事態の発生件数は、602件で、前年度474件に比較して約28%増加。いじめ防止対策推進法施行以降で最多となっている。

■小学校の占める割合が過半数
小学校の認知件数は、42万5,844件で全体の66%を占める。中学校は、9万7,704件(29.8%)、高等学校1万7,709件(5.2%)となっている。
いじめを認知した学校数は、30万49校となっており、全体に占める割合は、80,8%。日本のほとんどの学校でいじめが起きている現状だ。

■法律が形骸化
いじめ防止対策推進法には、第四条に、「児童等はいじめを行ってはならない」と明記されている。さらに、第25条には、「校長及び教員は、必要であればいじめを行っている児童等に懲戒を加えることができる」といった記載がある。
しかし、これが全く守られていない。懲戒である出席停止の件数が、平成30年度はたったの7件で、前年度も8件と極端に少ない。

■出席停止を適正活用すべき
教育関係の大学教授などは、この出席停止を確実に実施していかないと、いじめの件数は減少しないと訴えている。しかし、教育委員会や校長は、「加害者の人権に配慮する必要がある」と主張する。
また、「加害者は、家庭に問題を抱えている場合が多く、出席停止措置で学校に通うことを奪うべきではない」とのスタンスだ。
一方で、いじめの被害者は、学校に通えなくなり、他の地区に転校せざるを得ない状況に追い込まれる場合もある。

■いじめは複雑・巧妙化
被害者の保護者たちは、一様に「理不尽すぎる」とこぼす。私立学校に転校することになると、経済的負担もかなり大きくなる。

実際の学校現場を取材すると、学校の校長や教師が化石化している。一方で、児童・生徒は、スマホなどで情報を得ることで、いじめについての知識は、教師を追い越している。また、年々実態が陰湿化しており、下校後にLINEを使ったいじめなど、教師が見えないところで行うケースも増加。

学校現場の校長や教師が、生徒の心をしっかりと把握し、寄り添った対応をしていかないと、ますますいじめの件数が増え、事態が深刻化し、自殺者も増えることになってしまう。日本のいじめ対策は、待ったなしの状態だ。

 

著者紹介

@sutekinamiraie
@sutekinamiraie
『取材力』を武器に、そのファクトの本質は、何か?核心を伝えるべく、幅広く活動を展開。
現在、合計7社の記者・クリエイターとして活動中。
最も多く読まれたnote月間賞も受賞。